カーンと冴えわたる比喩、はっと驚くオノマトペを発見し、締め付けられるような悲哀やほのぼのとおかしいユーモアに心を摑まれる…。
清少納言から小川洋子まで、日本語学の第一人者がめぐりあった数々の名言をふりかえる。
わたしは【月】の項を一番に読みました。お月さまに惹かれています。
2ページ分の文章の中に、和歌、俳句、歌がつぎつぎに出て来ます。
たとえば、
「荒城の月」と題するように、土井晩翠は遠く過ぎ去った月影を思い描いている。過ぎ去った時代を偲んだあと、こんどは実際に季節の月を眺めてみよう。中村汀女は「外にも出よ触るるばかりに春の月」と詠んだ。潤んでふくれ、黄の色溢れるような春の月・・・・母親が子どもに叫んだ句らしい。野沢凡兆の「市中は物のにほひや夏の月」ごみごみとした「町中」・・・生活臭のが漂っているが、空には夏の月が涼しげに照っている。
と流れて行きます。読んでいて気持ちいいです。
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